
灰根です。
先日、名古屋の御園座で公演していたワンピース歌舞伎をぶりあんさん(@Briand_1990)に連れて行ってもらいました!
始まりはある日タイムラインで見かけたぶりあんさんのツイート。
(このパターン多いなっ)
誰か御園座で5月にワンピースの歌舞伎を観に行きたい人いないかな~🙄https://t.co/FTlL7UhCEe
流石に一人で行く勇気もなく…。
もれなく「おか冨士のうなぎ弁当」をご馳走しまっせ!! pic.twitter.com/5KO1lYdGkc— ぶりあん@2018年うなぎ59食 (@Briand_1990) April 8, 2018
ONE PIECE好きだし、日本人たるもの一度は歌舞伎を見ておいたほうがいいのではと思って(おか冨士のうなぎ食べてみたかったし)、興味があることをぶりあんさんに伝えると、じゃあ歌舞伎のチケット代も出してあげるからおいでよ!と言ってくれました。
歌舞伎にうなぎのお弁当までご馳走してもらえるなんて!
(というか結局焼肉やらカフェやら何から何まで奢ってもらったという。男前すぎない?)
二つ返事で名古屋行く約束をしました。
名古屋なんてヒッチハイクで行けばいいんだ。
そんな感じで、御園座でワンピース歌舞伎を観ながらおか富士のうなぎを食べるというやんごとなき体験をしてきたのでレポートです!
めちゃめちゃ面白かったので、「ONE PIECEは好きだけど歌舞伎わからなくても楽しめるの?」という方向けにその魅力をお伝えしたいと思います!
ちなみに僕はONE PIECEは最初から最新の話まで読み込んでいる一方で、歌舞伎に関する知識はほぼ0でした。
「歌舞伎?…え〜っと………え、海老蔵?」
そんなレベルです。(いやホントごめん)
そんな僕でも超楽しめました!!!
とりあえずこの記事は見なくても、ワンピース歌舞伎は見とけ!(ドン!)
もうワンピース歌舞伎を観に行くと心に決めている人は、僕の記事で変な先入観がついてしまってはあれなのでそのまま記事は閉じて楽しんできてください。
変な先入観ができて楽しめなくなったら嫌だなと思ったので、僕はなるべくフラットな気持ちで観るために下調べは何もしないで観に行きました。
なので、この記事を書くにあたって初めて調べています。
ワンピース歌舞伎とは
このブログではワンピース歌舞伎と書いていますが、正式には『スーパー歌舞伎Ⅱ(セカンド)「ワンピース」』です。
スーパー歌舞伎Ⅱ(セカンド)ってなんやねん!ってことですが。
スーパー歌舞伎Ⅱ(セカンド)とは
三代目市川猿之助(現猿翁)によって創造された、かつてないスケール感と重厚な物語性を併せ持ったスーパー歌舞伎は、数々の金字塔を打ち立て、演劇界に新しいジャンルを拓いた。そのスピリットを継承した四代目市川猿之助が自らの手で創造したスーパー歌舞伎、それが「スーパー歌舞伎Ⅱ(セカンド)」である。
要するに。
これまでの歌舞伎をパワーアップさせた、新しくてスーパーな歌舞伎ということだ!
うん、よくわかんないよね。僕もよくわかんない。
ごめん、ここはサラッといかせて。
ワンピースとは
これは説明不要でしょう!
一応こちらも公式HPに説明載ってたから載っけます!
「週刊少年ジャンプ」1997年7月22日より連載開始。著者は尾田栄一郎。
2010年3月4日発売のコミックス第57巻が、日本出版史上最高初版発行部数となる300万部を記録。その後も64巻で初版400万部、67巻で初版405万部と、記録を更新し続けている。
2017年に連載開始から20周年を迎え、コミックスの1巻から87巻までの全世界累計発行部数は、4億3000万部を突破した。1999年10月に開始したテレビアニメは現在、フジテレビ系列で毎週日曜日の9時30分から放送中。
漫画としての凄さしか伝わらくね……。
いや、4億部とか超すげーけど。
歌舞伎は好きだけどONE PIECEはわからないご年配のお客さん向けにあらすじとか…。
本当に説明不要だと思ったのか、もう説明するのは無理だと思ったのか。
ONE PIECE全巻集めて、毎週先が気になるからって発売が早い駄菓子屋までジャンプを買いに行って、友達とあーでもないこーでもないと議論してたほどにONE PIECEが好きだった灰根が代わりに説明しましょう。
ワンピースとは、仲間を集めてワンピースを見つけて海賊王を目指す海賊達のマンガです!
伝われ!(どーん)
ちゃんと1から説明してたら、それこそ数十記事どころかONE PIECEだけでブログになります。
カテゴリーが「七武海」とか「革命軍」とかになるよ。
ちなみに好きな超新星はスクラッチメン・アプーです。別に出てこないので覚えなくていいです。
うん、これもサラッといかせてね。
ストーリー
扱うストーリーは頂上戦争編だそうです。コミックスでいうと51巻〜60巻のところ。
大秘宝ワンピースを探す大いなる航海の次なるステップ・新世界への入り口となるシャボンディ諸島での海軍との戦いの中で、麦わらの一味は散り散りになってしまう。一人になったルフィは兄エースの処刑宣告の知らせを聞き救出に向かう。侵入不能の海底監獄を突破するルフィだが、エースは海軍本部に移送されてしまった後。そしてついにその海軍本部を舞台に、エースを救おうとする海賊団や、ルフィと海軍との間で壮絶な決戦が繰り広げられる!!
すごい面白いところじゃん!
頂上戦争編は本当に毎週楽しみ読んでいたところ。
とはいえ、意外なところを選んだなというのが正直な感想。
アラバスタ編とかやりそうなもんですけど。
あれだけキャラ数が多かったり、過去のキャラ同士の関係性が出てくるところを、どう歌舞伎で表現するのかが見ものです。
なんて書いてるけど、実際に見るまでどこのストーリーやるかも知りませんでした。
チケット料金
僕は御園座で観たので、あくまで御園座での料金ですが。
座席の種類は4種類。
S席 | 20,000円 |
---|---|
A席 | 18,000円 |
B席 | 10,000円 |
C席 | 6,000円 |
![]()
出典:座席表|御園座
いや〜歌舞伎ってやっぱりそれなりのお値段するよね。
この金額の設定が割高という意味ではなくて、単純に若い人がふらっと行ってみようと思える金額ではないと思うってこと。
だから僕もこうやってぶりあんさんが連れて行ってくれてなかったら、なんだかんだ一生歌舞伎に触れる機会はなかったかもしれないし。
基本的に舞台に近ければ近いほど良い席で、値段も高い設定になっていると思ってもらって大丈夫です。
若干ですが車いす席もあるそうなので、ご利用されたい方は事前に公式の御園座チケットセンターにお問い合わせいただければと思います。
後述しますが、ワンピース歌舞伎に限った話かもしれませんが、座席によって楽しめる要素が結構変わると思います。
舞台近く、花道近く、2階席と、同じランクの席でも結構変わるので、買う前に検討して見るといいと思います。
インターネット予約、電話予約、窓口購入と、色々な方法でチケットを購入できます。
とはいえ、僕が行ったのが2018年5月16日の平日の昼の部だったにも関わらず満席だったこと、同じランクの席でも場所によって楽しめ方が全然違うことを考えると、当日ではなくできるだけ早めに予約することをオススメします。
御園座めっちゃ赤い!
無事ヒッチハイクで名古屋に着き、御園座がある伏見駅付近を歩いていると、大量のワンピース歌舞伎ののぼり旗。
街総出で宣伝してるのかな。
伏見駅から出て徒歩2分ほどで御園座があります。本当に近い。

いや〜すごい建物!趣深し!
今調べたら御園座は5年くらいかけて改装していて、2018年4月1日にリニューアルオープンしたばかりらしいです。
超最近!
この奇抜そうでいて、それでもしっくり街に馴染むような素敵なデザインは、隈研吾さんという有名な建築士の方によるものだそうです。
新国立競技場の設計も任されている程の日本代表する建築家の方。
『ことりっぷ』というサイトの記事にて、隈研吾さんの代表的な建築物が紹介されていました。
もう何がどうなっているんだかわからないが、とにかくすごい。
開場の15分程前に到着しましたが、平日のお昼前にも関わらずものすごい人の数でした。
今思えば最近リニューアルオープンした影響もあって、これだけ人がいたのかな。
御園座はとにかく赤かった。

手すりも天井も赤い。(ぼやけてる…)

壁も床も赤い。

エスカレーターまで赤い。
いや、そこまで赤くせんでええやろ!
ってなくらいに真っ赤な世界だった。
目に見えてわかるインパクトのおかげで、特別な体験をしている実感がわきます。
こういうので非日常を演出するのはとても大切だと思う。
今日はハレの日なんだ。
スーパータンバリンなるものが売っている。
歌舞伎なのにタンバリン?
この意味は後にわかることになる。
限定グッズもたくさんありました。
何も買わなかったけど…。
公式で詳細が見られます。
念願のおか冨士お弁当もここで受け取る。
おか冨士以外にも、高級そうなお弁当がいくつもありました。
歌舞伎だけじゃなくて、どこのお弁当を食べるかというのを楽しみにしてるお客さんも間違いなくいるでしょうね。

今回は歌舞伎の記事なので割愛しますけどおか冨士のうなぎめちゃめちゃ美味しかった。
初めて関西風は初めて食べたんだけど、関東風と違って味の弾力を感じた。あと、香ばしい。
御園座に来たときはぜひご賞味ください。
館内を色々見学して楽しんだので劇場内へ。
席種はB席(2階席)の11列5番。2階席の後ろの方ということだったけど、全然遠さは感じない席だった。
写真の通り、傾斜がきつめで、前後の席の幅も人が通るのがやっとなほどに狭く作られている。
おかげで1300人も収容できる会場でありながら、何やっているかが見えないなんてことは全くありません。
最後列のC席でも十分舞台の様子は見えると思います。
それにしてもやっぱり座席まで赤いのな。さすがだ。

奇しくも我らがルフィ船長のイメージカラーも赤なのでぴったりだ!
本当に何も調べて来なかったから、この歌舞伎がどのくらいの所要時間なのかすら知らなかったわけだが、張り紙を見たところによると、構成が三幕に分かれていてそれぞれの間に休憩時間があるらしい。
この休憩時間の間にお弁当をいただけるわけです。
歌舞伎自体は3時間弱、休憩時間を含めると4時間弱にもなる長尺!
これはワンピース歌舞伎に限らず、通常の歌舞伎も同程度の所要時間だそうです。
1.0〜1.5時間くらいだろうと勝手に思ってたけど、すごいガッツリやるよ!
そうこうしているうちに開演の時間に近づいてきた。
いよいよワンピース歌舞伎!スーパな歌舞伎!!
おらわくわくすっぞ!
間違えた。これ違うキャラだわ。野沢雅子だ。
いざ開演!
ここまで書いておいて何ですが、
公演の詳細については書けません。
錚々たる歌舞伎役者の方々の表現によって成し得たスペクタクルを、ここで文章で1から表現し直すのは無粋と言わざるを得ません。
(というか文章で表せねえよ)
そうは言っても、「てめえブロガーだろうが文字で表現しなくてどうすんだよばかやろーコノヤロー」ってことだと思うので、一応文字で表現します。
スーパー歌舞伎はエンタメの最高峰だ
歌舞伎って小難しくて理解できないんじゃないかって思ってたんですけど、もう全然問題ない!
イメージしているような歌舞伎じゃない!
大丈夫!感じる!
よくわかんないけど超楽しい面白い!!!
なぜなら歌にダンスにプロジェクションマッピングに影絵に多種多様な演出が取り入れられている!
総合芸術!最新最高峰のエンタメ!
会場でタンバリンが売られていて、これ何に使うんだろうと思ってたんだけど、途中でコンサートのようなミュージカルのようなものが始まってお客さん総立ちでタンバリン振るんだよ。
やばいよね。
このゆずのアルバムに収録されている「TETOTE」という曲が、ワンピース歌舞伎のテーマ曲になっていて、それを劇中でルフィが空飛んだりオカマが1階2階隅々まで走り回りながら歌うのよ。
何言ってるのか伝わらないと思うけど…もうカオス。
このゆずの曲がもう洗脳なんじゃないかってくらい耳に残ります。
ふぁ〜ふぁ〜ふぁ〜うぉっうぉっうぉ〜
でも元気の出る良い歌です。
しかもオカマは香水してて良い匂いするのよ(笑)
「あなた良い男ね」ってコトまで言ってくれるし。
なんなんだこれ。
他にも、すごかったのは舞台に滝ができるのね。
もう、いちいち「滝って何!?」って突っ込んでたらキリがないからスルーするけど。
その滝を使って、キャラクター達がド派手なアクション、大立ち回りするのよ。
それがめちゃくちゃすごい。めちゃめちゃ楽しい。
前列のお客さんは雨合羽みたいなものを羽織って、富士急のクールジャッパーン並みにその水飛沫を浴びる。
もうここまで来ると「歌舞伎って何だっけ」って状態。
とにかく、色んな方面から面白いものを取り入れて楽しませてくれる!
これでも僕がここで説明した演出はごく一部ですからね。
「歌舞伎らしさ」もちゃんとある
上で書いたものを見ると、もうそれ歌舞伎じゃねえじゃんって話にもなると思うんですが、ちゃんと歌舞伎っぽいところももちろんあります!
僕も見ていた時は何となく「これ歌舞伎っぽいやつ!!」って思っていて、今になって調べたので、間違っているかもしれませんがご容赦ください。
ツケ打ち
役者さんの動きを強調したり効果音的な役割を果たすツケ打ち。
たくさん使われていました。
「カッ………カッ……カッ…カッカッカカカカカカ!」
って鳴るアレです!
この木の乾いた音が響いて気持ちいいんですよねえ。
見得(みえ)、にらみ
ザ・歌舞伎ってイメージの見得。
ツケ打ちとともにポーズを決めて静止して、寄り目のような形相をするアレです!
アレは寄り目のように見えて寄り目じゃないみたいです。
この見得がめちゃめちゃかっこいいですよ。
いわゆるカッコつけてる瞬間だと思うので、カッコよくなくちゃいけないところだと思うんですが。
体の隅々の所作が、己を主張しているようです!
ルフィ(尾上 右近さん)がやってて、海賊王を目指す船長としての威厳を見事に表現していました。
ちなみにこの見得をやったときにお客さんが「いよっ!〇〇屋!!」って掛け声をすることがあるそうです。
ONE PIECEに出てくる人気キャラのトラファルガー・ローもルフィのことを「麦わら屋」なんて言いますが、歌舞伎から取ったのかもしれませんね。
六方(ろっぽう)
花道を去るときなんかに、手足の動きを誇張して大げさに走る様を六方と言います。
僕がいちばん好きなやつです!
これはめちゃイケのオファーシリーズで岡村隆史が一寸法師役で歌舞伎に挑戦する企画を見ていたので知っていました。
確か弁慶がやるのを飛び六方とか言ったはず。
Mr.2ボン・クレー(坂東 巳之助さん)が、オカマ拳法風な六方を見せてくれるのですが、これが本当に勇ましてくてかっこいい!!
これがあるから花道の近くで見て見たいなーと思いました。
座席表見るとわかるけど、A席でも花道のすぐ横の席があるんですよね。
逆に言えば、同じランクの席でも花道から近いところと遠いところと結構分かれるので、六方など花道での演技に注目したい方は、花道近くの席を確保すると良いです!
歌舞伎役者がとにかくすげえ
ワンピースの個性的なキャラクターを演じたらどうなるか。
ずっと期待半分、心配半分だったのですが、心配は杞憂でした。
歌舞伎役者の人超すごいっす。
言い方は悪いですけど、似てないんだけどそのキャラクターとしての存在感をちゃんと放ってるんです。成立してるんです。
よく人気な漫画が実写化なんかしたりして、似てるだの似てないだのってありますよね。
配役もどうにかそのキャラクターに似てる人を見つけてきたりして頑張ってはいるんですが、ファン的にはどうにもガッカリだったりすることもしばしば。
見た目が良くても、「声ガー」とか「演技ガー」とか「オーラガー」とか。
そういう意味で言えば、歌舞伎の役者はよく見れば顔は似てないし、声も当然アニメの声優とは違うし、女性キャラにいたっては女方と呼ばれる男性が演じています。
でもね、ちゃんとワンピースのキャラなんですよ。
言ってしまうと、尾田栄一郎の漫画『ONE PIECE』とは違う。
でも、スーパー歌舞伎Ⅱ『ワンピース』として成立してる。
これはこれでいい!あり!超あり!
そう思えるんです。
尾上 右近(ルフィ役)
僕が見たワンピース歌舞伎の配役ではルフィ役は尾上 右近さんという方でした。
元々は市川 猿之助さんがルフィ役だったらしいのですが、公演中の事故による代役で抜擢された方らしいです。
この尾上右近さんが演じるルフィがめちゃめちゃいいんですよ!
正直尾上右近さんがルフィに似てるか似てないかって言ったら、別に似ていないと思うんですよ。
でも似てるか似てないかとか関係なく、尾上 右近さんのルフィがいいんです。
尾上 右近さんのルフィがかっこいいんですよ。
あ!わかる!「はあ?何言ってんだこいつ」って思ってるのわかる!
いや、だからね、文章で説明できないって言ったんだけど…。
尾上 右近さんがルフィに似ているからかっこいいんではなく、”尾上右近ルフィ”そのものがかっこいいんですよ。
「あーもうついていけねえわ」って思ってるでしょ!ごめんて!
これ重要なんですよ。
モノマネの番組とかで、すごい感動する歌を歌うアーティストのモノマネをしていて、似ているのに感動じゃなくて面白さに変わっていたりするじゃないですか。
一方、その歌をまったくモノマネせずに歌って、本家のアーティストと同じくらい感動させちゃう歌手の人もいますよね。
”尾上右近ルフィ”は原作のルフィに依存せずに、もうそこから独立した魅力・かっこよさがあるんですよ!
そのルフィを見ていて、「ああ、俺も海賊ならこんな人に付いていきたいなあ」と思わせてくれるんです。
偽物なんだけど本物!
その説得力があるから、原作漫画の『ONE PIECE』と比較してどうかではなく、スーパー歌舞伎Ⅱ『ワンピース』としての世界がリアルに感じられる!
なんとなく言いたいことが、伝わってほしい!
ルフィの走り方を見てほしい。舞台を駆け回るあの飄々とした感じ。代役だったてのが信じられない。本当かっこいいぜ。
ルフィが主役だから代表して言及したけど、他のキャラクターも演じている役者さんもみんなすごいよ。
たぶん見るとそれぞれお気に入りの人出ると思う。
尾上右近さん以外の僕のお気に入りの方を3名ピックアップしてお伝えします。
平 岳大(エース役)
まずはエース役の平 岳大さん。
ストーリー的に準主役といえるポジション。
エースといえば、ワンピースでも屈指のかっこいい人気キャラですが、平 岳大さんの演じるエースもかっこよかった。
身長が高くて、声が良い声してるんですよ。
安易な表現で申し訳ないですけど、イケメンボイス。
エースにぴったり。
調べたら歌舞伎役者の方じゃなくて俳優のようです。なんと43歳。
エースは頂上戦争編でめちゃくちゃ動き回ってたんですが信じられないですね。
昼の部と夜の部、1日にこれを2公演もやるなんて…。
市川 右團次(白ひげ役)
そして白ひげ役の市川 右團次さん。
白ひげといえばやっぱり世界最強の男であり、漢ですよね。
あの人生経験から来るであろう懐の深さ。
頂上戦争編は白ひげの生き様を魅せる物語だったと思いますし、そういう意味ではいちばん粋なところを見せたいキャラなんじゃないかと思います。
市川 右團次さんの白ひげはまさに、そういったスケールのでかい漢を体現していたと思います。
声の威厳がすごい。
思わずマルコ達と一緒に「親父ぃーー!!」って言ってしまいそうになるくらい。
市川 猿弥(黒ひげ・ジンベイ役)
最後に、僕の一番のお気にいりで魅せられた人!
黒ひげとジンベイ役の市川 猿弥さん!
エースと黒ひげが戦うバナロ島の決闘のシーンがあるのですが、そこでの黒ひげがめちゃ最高!
元々僕は黒ひげとかクリークみたいな敵が大好きです。主人公の活躍を映えさせるのは、絶対的な悪役がいるからこそ。
黒ひげとかクリークはワンピースに出て来る他の敵キャラと比べても、いちばん海賊らしくて憎らしいんですよ。でもそこがかっこいい。
目標を遂行するためにはどこまでも狡猾で非情になれる。
そんな黒ひげの悪役としての魅力を、市川 猿弥さんは見事に演じられていました。
黒ひげの存在感を、喋り方、声、立ち振る舞いによって2階席の後ろの方に座っている僕のところにもしっかりと届いていた。
市川 猿弥さんの黒ひげと平 岳大さんのエースとの決闘シーンはゾクゾクしながら観てましたよ〜!
黒ひげの登場シーンはほんのちょっとだけなんですけど、市川 猿弥さんはジンベイ役としても登場します。
このジンベイ親分がまたかっこいいんだ…。
終盤にはこのストーリーで重要なセリフを言います。アレです。
衣装とか舞台装置とか構成とかめちゃくちゃこだわってます。
それこそ、衣装は原作通りではない。でも、原作のキャラクターに準拠して大切に作られている。
見れば、このキャラだなっていうのは大体わかる。
あくまで原作『ONE PIECE』の世界を真似るんじゃなくて、そこから新たに作り直した新しい「歌舞伎のワンピース」の世界。
衣装も注目!歌舞伎アレンジ!かっこいいよ!
やっぱり文章でみてもよくわかんねえよ
ですよね〜。
公式の映像がYouTubeにあったのでこれで少しでも感じてもらえればなと思います。
シネマ歌舞伎『ワンピース』予告
『シネマ歌舞伎 スーパー歌舞伎II ワンピース』魅力を紹介!特別映像
それでも、こうやってかいつまんで見せられただけじゃ、あんまり伝わらないかなと思うんですよね。
やっぱり実際に会場に観に行ってみて……。
楽しいから!
まとめ
いやーとにかくめちゃくちゃ楽しかったワンピース歌舞伎!
観る前には事前情報を仕入れないでいたんだけど、今になって色々調べてみると、往年の歌舞伎ファンの人の中には
「こんなのは歌舞伎じゃない!」
と批判的に思われている方もいるみたいです。
確かに、従来の歌舞伎とは全く違うかもしれません。
僕自身もこのスーパー歌舞伎Ⅱが、今まで長く愛されてきた歌舞伎と同じだとは思っていません。
でもね、ちょっと待ってください。
じゃあそもそも“歌舞伎”って何なのか。
そもそも歌舞伎とは
そう。そもそも歌舞伎がなんなのかよくわかってないのよ。
それがわからずして「歌舞伎とはかくあるべきだ」なんて論じられんじゃないの。
ということでワンピース歌舞伎を観終わった今、改めて歌舞伎について調べてみました。
とても歌舞伎について詳しく書いてあるサイトがあったのでそこからの引用です。
そもそも、歌舞伎って何?
♦︎歌舞伎って…
歌舞伎の語源は「傾(かぶ)く」。流行の最先端をいく奇抜なファッション、世間の常識はお構いなしの「かぶき者」をまねた扮装で見せたのが、歌舞伎のルーツといわれる「かぶき踊り」でした。既存の考えにとらわれずに流行を取り入れ、人々を楽しませる――それは、歌舞伎がたえず受け継いできた精神なのです。
歌舞伎を成り立たせているのは、芝居、踊り、音楽。この3要素で楽しませることを追求し、一つの総合芸術にまで磨き上げてきました。面白いものを貪欲に取り込み、楽しませるための工夫や努力を重ねた結果が、歌舞伎を多彩なものにしました。江戸と上方(京都大坂)を中心に、各時代の観客の趣味嗜好を反映し、名優、名作家たちの活躍で新しいレパートリーを増やしながら今日の歌舞伎に至ります。お上に頼らず、市井の人々が育ててきたところに大きな特徴があります。
そのレパートリーは700以上で、基本は“ロングラン”。一つの作品に、俳優や裏方の数えきれない工夫が重ねられ、今現在の集大成が、目の前の舞台に広がっている――それが歌舞伎なのです。
♦︎反骨精神が育てた歌舞伎精神
「かぶき踊り」が出雲の阿国によって京都で始められたとされるのが1603(慶長8)年。ですから、歌舞伎にはすでに400年以上の歴史があります。ちなみに江戸で歌舞伎が始められたのは、現在の京橋に中村座ができた1624(寛永元)年といわれています。
かぶき踊りの人気を受けて、遊女を含めた女性たちの「女歌舞伎(おんなかぶき)」や、前髪の残る少年たちの「若衆歌舞伎(わかしゅかぶき)」が始まりますが、いずれも風紀を乱すという理由で幕府に禁止されます。そこで次に登場したのが、成人男性中心の「野郎歌舞伎(やろうかぶき)」。歌舞伎を男性だけが演じる過程で「女方(おんながた)」も生まれ、今日の歌舞伎の基礎ができ上がりました。
どんな苦境も乗り越え、成長の糧にしてしまう――。興行主である座元(ざもと)や歌舞伎俳優、彼らを支えるスタッフに流れる反骨精神もまた、歌舞伎がこれまで受け継がれる上で欠かせないものでした。
へえー!!!面白い!すごい分かりやすい!
これを見る限りさ、スーパー歌舞伎Ⅱ『ワンピース』でやっていたことって、歌舞伎の精神性から全くずれていないし間違っていないよね。
「流行の最先端をいく奇抜なファッション、世間の常識はお構いなし」
「既存の考えにとらわれずに流行を取り入れ、人々を楽しませる」
「芝居、踊り、音楽。この3要素で楽しませることを追求し、一つの総合芸術にまで磨き上げてきました」
「面白いものを貪欲に取り込み、楽しませるための工夫や努力を重ねた結果が、歌舞伎を多彩なものにしました」
「どんな苦境も乗り越え、成長の糧にしてしまう」
「反骨精神もまた、歌舞伎がこれまで受け継がれる上で欠かせないもの」
ワンピース歌舞伎は、世間の「歌舞伎はこういうものだ、こうあるべきだ」という常識はおかまいなしな「かぶき者」による、芝居、踊り、音楽の3要素で楽しませることを追求した一つの総合芸術だったじゃないか!!!!
歌舞伎の「か」の字も知らない僕が、歌舞伎の世界に身を置く人たちを推し量るのは恐縮ですが、あのスーパー歌舞伎Ⅱを見たらどれだけ本気で楽しませようと工夫や努力を重ねて作り上げたものだったのか、嫌でも感じますよ!
時間も労力もお金も情熱も何もかもを懸けて、ワンピース歌舞伎を作ったんだと思います。
本気も本気ですよ!
そりゃあ面白いよ!刺さるわけだよ!
周りのお客さんは平日の昼だったのもあると思いますが、ご年配のお客さんが多かったですが、みなさんめちゃめちゃ楽しんでましたよ!
ONE PIECE知らないでしょ!?って思いましたが、そんなの関係なく楽しめるくらいに最高なエンタメだったってことです。
もちろん従来の歌舞伎は従来の歌舞伎にしかない魅力や面白さがあると思います。
そうした歌舞伎を愛して支えてきたファンの方あっての今の歌舞伎だとは思います。
でもそれはそれ!これはこれ!
なにも従来の歌舞伎がなくなったわけじゃない。
このスーパー歌舞伎Ⅱは、いい架け橋になると思うんですよね。
僕も「日本人だから一度くらい歌舞伎観に行ってみようかなあ」くらいに思っていただけで、本当に観に行くことがあったかなんてわかりません。
でも、少なくともこのワンピース歌舞伎を見たことで、「従来の普通の歌舞伎も絶対観に行こう!」と思わせてくれました。
これってすごいことだと思います。
「わかる奴にだけわかればいい」じゃなくて、少しでもわかりやすく見やすいように作り直して、「歌舞伎って面白いよ!」って向こうから手を差し出してくた。
今回観ることのできた、いわゆる「歌舞伎らしい歌舞伎」部分は少しかもしれないけど、僕の中では今回の体験がきっかけとなり、歌舞伎の世界の入り口になってくれたように思います。
おわりに
文章で伝えるの難しいな〜と思いながらも、自分なりに精一杯ワンピース歌舞伎の魅力をお伝えしてきました!
こんな記事見てなくてもいいからぜひワンピース歌舞伎観に行ってきてください!
本当は若い人にこそ観に行ってほしい。
それこそできるならS席で舞台の最前列で。
ONE PIECE好きな高校生とか友達で行ったら、絶対楽しいよ!
富士急みたいにバシャバシャ水かかるんだぜ。
とはいえ、やっぱり学生には気軽に払える値段じゃないんだよね…。
内容を見れば決して高くないんだけど、払えてもC席の6,000円が現実的なのはしょうがない。
だから僕が期待しているのは歌舞伎好きでお金に余裕のあるおじいちゃんおばあちゃん!
ぜひ、お孫さんを連れてワンピース歌舞伎のS席取ってあげて!!!笑
「歌舞伎好きなおじいちゃんおばあちゃん」と「ONE PIECE好きなお孫さん」の間にワンピース歌舞伎が良い架け橋になってくれるよ!!
えーこれだけワンピース歌舞伎の魅力を語り、おすすめしてきた僕から最後に重大なお知らせがあります。
御園座でのワンピース歌舞伎の公演、もうすでに終わってました!
いやー本当ごめんw
2018年5月27日が千秋楽だったみたい。あはははは。(現在5月30日)
この記事書き終わる寸前にその事実に気づいたのよ。
僕も衝撃とショックで覇王色の覇気くらったみたいな気分ですからね。マジで。
どんなオチだよって感じです。僕自身がオチ込んでますからね。別にうまくねえし。
なので御園座のワンピース歌舞伎はもうやってないので観れません!
ごめんなさい!
でも、いざもう観れないとなるとめちゃくちゃ行きたくなるでしょ!
そんなあなたや僕にジンベイ親分からのありがたいお言葉です。
「失ったものばかり数えるな!!!無い物は無い!!!(ワンピース歌舞伎の公演)」
こんなの言われてもつれぇよな……。
とはいえ!
いつかまた「ワンピース歌舞伎」やワンピース以外での「スーパー歌舞伎Ⅱ」をどこかでやってくれるかもしれません!
今度は絶対にその機会を逃さず観に行ってみてくださいね!!!
役者も会場も内容も今回とは違うかもしれないけど、きっとまたさらなる工夫や努力を重ねて、さらに新しくて面白い歌舞伎を見せてくれるはずです!!!
The Kabuki is to be continued!
(え、英文あってる?)

ああ、船長のご尊顔が…!
おわり。